東京証券取引所(東京都中央区)の20代の男性社員がインサイダー取引に関与した疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が、金融商品取引法違反容疑で強制調査したことが関係者への取材でわかった。
国内最大の証券取引所を運営する東証の社員が強制調査を受けるのは極めて異例だ。
関係者によると、社員は、上場企業が情報を開示する際にサポートする「上場部開示業務室」に所属。業務を通じて社員が知った企業情報が不正な取引に使われた疑いがあるという。
監視委はこうした取引を把握し、9月に社員の自宅などに強制調査に入った。
2014年施行の改正金商法は、不正取引した者に加えて「情報を伝えた側」も処分対象としており、①企業の重要事実を伝える(情報伝達)②重要事実は伝えずに取引を勧める(取引推奨)――が違法行為とされる。違反した場合は5年以下の懲役や500万円以下の罰金が科せられる。②では、取引した側は処罰対象にならない。
東証を傘下に持つ日本取引所グループは23日、「東証社員が証券取引等監視委員会の調査を受けていることは事実であり、調査に全面的に協力してまいります。上場会社をはじめ関係者の皆様に、多大なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くお詫(わ)び申し上げます」とのコメントを発表した。
記事を取り消し おわびします
23日午前5時に配信した「職員、インサイダー関与疑い 株の不正取引監視法人 監視委、強制調査」の記事で、インサイダー取引に関与した疑いがあるとして証券取引等監視委員会の強制調査を受けたのが「日本取引所自主規制法人」の職員とあるのは、同じ日本取引所グループ傘下の「東京証券取引所」の社員の誤りでした。取材の過程で所属を取り違えました。関係者のみなさまにおわびし、この記事を取り消して正しい記事を掲載します。